セルフチェック
気になる症状があればセルフチェックをしてみましょう。
SASの発症に最も深く関わっているのが肥満です。その他、SASは男性に多く、加齢によって発症リスクが高くなることがわかっています。病気のメカニズムから、あごが小さい人にも起こりやすい病気です。
健康な人であれば、息を吸うと横隔膜が収縮して胸腔がひろがり、胸腔のなかの圧力が低くなります(陰圧)。
この陰圧によって空気が鼻の穴からのどを通り、気管から肺に流れ込みます。しかし、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者さんは胸腔のなかが陰圧になることで、のどのやわらかい組織や、舌が内側にひきこまれ、気道が狭くなってしまいます。狭くなった気道を空気が通るときにまわりの組織が振動していびきが起こります。気道が完全に塞がってしまうと無呼吸になります。
次の項目はSASのリスクと考えられているものです。当てはまるものがある場合は、注意が必要です。
SASは、中等症以上の患者さんで成人男性の約20%、閉経後女性の約10%といわれています※1。
SAS治療の柱である持続陽圧呼吸療法(CPAP)を受けている患者さんは、約60万人にのぼり※2、60歳未満の人が約半数を占めています※1。
男性は、生活習慣病が増加する中高年になると、SASの発症も増えます。一方、女性は、女性ホルモンのエストロゲンが血液中のコレステロール値を下げる働きや内臓脂肪をつきづらくさせる効果を持つことなどから、閉経前は男性に比べてSASを発症しにくく、発症頻度は男女比2〜3:1となっています。
しかし、閉経以降は女性もエストロゲンの働きが急激に低下して肥満のリスクが高くなります。首まわりにも脂肪がつきやすくなり、SASを発症する人が増え、年齢が高くなると男女比の差がなくなっていきます。
閉経前の女性は、女性ホルモンの筋肉が気道を広げようとする作用が働くため、いびきをかきにくくなっています。SASは男性や中高年以降の女性に多いイメージがありますが、あごが小さく気道が塞がりやすい人に発症することがあります。
子どもがSASを発症するケースもあります。子どものSASは、アデノイド肥大や扁桃肥大、あごが小さい、肥満などで気道が塞がることが主な原因です。いびきや睡眠中に無呼吸がある、呼吸が苦しそう、口呼吸をしている、夜中によく目を覚ます、幼稚園や学校で昼間にぼーっとしていることが多いなどの症状があれば、医療機関を受診しましょう。
睡眠中に脳や体に十分に酸素が行き届かない状態が続くと、成長ホルモンの分泌が減少し、子どもの成長に影響が出ることもあります。早期診断、治療が重要です。
子どもは、睡眠時に無呼吸を引き起こす原因が複数に及ぶこともあります。内視鏡検査で鼻の奥の状態をみたり、X線検査でアデノイドの大きさを確認したりして無呼吸を引き起こす原因を探ります。
アデノイド肥大や扁桃肥大が原因の子どものSASに対しては、薬で改善する場合もあります。効果がなければ、手術でアデノイドや扁桃を取り除きます。肥満によるSASに対しては、CPAP治療を行います。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450048&tstat=000001029602