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快眠コラム

光を使ってスッキリ目覚める 前編

快眠のススメ
野口 公喜
パナソニック株式会社
野口 公喜

現代人の目覚め

みなさんは毎朝、気持ちよい目覚めを迎えることができていますでしょうか?

寝坊が心配なので目覚まし時計を何個 も使用されている人や、一度は起きても目覚まし時計のスヌーズ機能を使って、二度寝、三度寝と繰り返している人も少なくないのではないでしょうか?ライフスタイルの夜型化や24時間化の進む現代社会では、毎日気持ちよく目覚められるという人は決して多くないと言われています。1日のスタートとなる朝の目覚めを、できるだけスッキリと迎えたいものですが、理想とかけ離れているのが現状のようです。

そこで今回は、睡眠と覚醒の生理的メカニズムから、光をうまく活用して毎日の目覚めを改善する方法を紹介します。

睡眠と目覚めの気分

目覚めについて考える前に、少し睡眠について学びましょう。私たちは毎日、一般的なライフスタイルであれば7時間前後の睡眠をとっています。入眠後、浅い睡眠から徐々に睡眠は深くなりますが、深くなった睡眠は、そのまま朝まで深いままというわけではありません。いったん深くなった睡眠は、また浅い睡眠へと戻り、そのサイクルは約90分であることが分かっています。つまり、就寝してから朝の目覚めまで、深い睡眠と浅い睡眠を数回繰り返すわけです。

このような睡眠過程において、どのように目覚めるのでしょうか?人間が原始的な生活を行っていた数百万年前はおそらく、充分に寝て浅い睡眠となったタイミングで自然と目覚めていたと予想されます。鳥のさえずりや、気温の上昇、日の出による明るさの変化といったマイルド な環境刺激も、浅い睡眠から目覚めを促すきっかけとなっていたかもしれません。一方で、現代生活の目覚めはというと、前記とかけ離れたものになっています。とくに平日は睡眠時間も不足しがちで、睡眠が深い状態であろうが浅い状態であろうが関係なく、起きなければならない時間帯に目覚まし時計を鳴らして、言わば強制的な目覚めを強いているわけです。したがって、睡眠がたまたま深い時に目覚まし時計が鳴った時には、脳がしっかり休んでいる状態から急激にたたき起こされるわけですから、とくに気分の悪い目覚めとなってしまいます。目覚めの気分が日によって異なるように思うのは、このような生理的なメカニズムも一因となっています(図1)。

光を活用しよう

では、目覚めの気分を改善するにはどうすれば良いでしょうか?前述の睡眠のメカニズムから、いくつかの方法が考えられます。よく耳にするのは、睡眠時間を調整すること。前記のように、睡眠のサイクルは約90分とされていることから、睡眠時間をその倍数にすることで、ちょうど浅い睡眠の時に目覚ましが鳴って、気持ちよく目覚められるというものです。しかし、その約90分というのはあくまでも目安ですので、実際の睡眠でうまくいくかというと、かなり厳しいように思います。

そこでお薦めしたいのが、光をうまく活用するということです。光には人を覚醒させる作用があります。目を閉じた状態であっても、明るさの変化を感じられることから分かるように、まぶたを透過して脳を刺激します。しかしながら、目覚まし時計の音と比べると弱い刺激であることから、深い睡眠から急激に覚醒させるようなことはなく、自然に浅い睡眠へと導いてくれます。したがって、朝、光で浅い睡眠となったところで目覚まし時計を鳴らすようにすれば、目覚めの気分を改善することが期待できます(図2)。