セルフチェック
気になる症状があればセルフチェックをしてみましょう。
睡眠と高血圧のお話の前に、まず高血圧の恐ろしさを説明したいと思います。50歳以上では3人のうち2人、つまり60%以上の人が高血圧です。しかし、なかなか症状を感じることがないので、放置されていることが少なくありません。治療をしないとどのようなことになるのでしょう。高血圧は、脳・心臓・血管・腎臓など全身に影響を与えます。JSH2014 高血圧治療ガイドラインでは、高血圧は我が国において喫煙に次ぐ二番目の死亡原因とされ、年間約10 万人が高血圧により死亡するとされています。高血圧はサイレントキラー(静かな殺し屋)といわれ、多くの方が恐ろしい高血圧をもっていても自覚がない状態なのです。
高血圧には様々な種類があります。原因からみた分類では、原因のはっきりしない本態性高血圧と、原因のある二次性高血圧に分けられます。二次性高血圧の原因には、今回のテーマである睡眠に関連した睡眠時無呼吸症候群も含まれます。また、血圧が一日の中でどのように変動するかでも高血圧は分類されます。昼間より寝ている間の血圧が高い夜間高血圧や、早朝起床時の血圧が高くなる早朝高血圧。ご存じの方も多いと思いますが、病院だけで血圧が高くなる白衣性高血圧、逆に病院での血圧が正常であるため高血圧と診断され難い仮面高血圧などもあります(図1)。医師はこの血圧変動のパターンを見て治療を工夫しています。
それでは本題である夜の話をします。先ほど、一日のどの時間帯に血圧が高くなるかで高血圧が分類されるという話をしました。この血圧の日内変動の違いは、それぞれの高血圧の危険性と関連します。これまでの研究から、夜間高血圧、早朝高血圧、昼間高血圧、白衣性高血圧の順にリスクが低くなること、つまり夜間高血圧が最も危険であることが知られています。
それでは何故、夜間高血圧が危険なのでしょうか。それは血圧が、夜寝ている間も脳・心臓など全身にストレスを与え続けるということもありますが、夜間の血圧を上げている原因が、体に悪い影響を与えることが考えられています。
次号の後編では、危険な夜間の高血圧がいかなる原因で起こるのか、またその治療について分かり易く解説いたします。