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快眠コラム

睡眠時無呼吸症候群かも?一人暮らしの人が疑うべきチェックポイント

睡眠豆知識
千葉 伸太郎先生
太田総合病院記念研究所太田睡眠科学センター/外科学センター所長
千葉 伸太郎先生

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、家族に夜間のいびきを指摘されて医療機関を受診し、診断に至るケースが少なくありません。しかし、その指摘をしてくれる同居者がいない場合にはどうすればよいのでしょうか。日中に自覚するあんな症状、こんな症状があったら睡眠時無呼吸症候群を疑い、医療機関を受診しましょう。

旅先で友人に指摘された「大きないびき」

先日、久しぶりに会う親しい友人たちとの旅行でのこと。楽しい旅の思い出とともに眠りに落ちたものの、翌朝隣のベッドで寝ていた友人から「いびきがうるさくて眠れなかった」とチクリ。「え? まさか」――。自分がいびきをかいていたとは知らずに驚いた経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。

いびきの原因が睡眠時無呼吸症候群であれば、早めに医療機関を受診する必要があります。しかし、これが旅の疲れによるものなのか、毎日のことなのか、同居する家族がいない場合、それを確認することは難しいものです。

睡眠時無呼吸症候群の診断を受けた患者さんのなかには同居家族からいびきを指摘されて受診した人だけでなく、一人暮らしの人もいます。こうした人の多くが悩まされているのが昼間の眠気です。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も繰り返す覚醒反応により睡眠の質が悪くなることから、睡眠時間をしっかり確保していても昼間に強い眠気に襲われてしまうのです。

仕事や家庭での活動中に強い眠気に襲われて集中力がなくなってしまったり、実際に居眠りをしてしまったりすることは、その人の生活にとって大きな障害となるだけでなく、大きな事故につながることもあります。

・SASが招く損失とは……

一人暮らしの人が睡眠時無呼吸症候群かどうかを調べるには

一人暮らしの人の場合、いびきをかいているかどうかを知るのは、録音や録画で確認するほかなく、睡眠中のいびきを録音できるアプリを使う人もいます。しかし、いびきをかいているからといって、睡眠時無呼吸症候群とは限りません。

重要なのは、いびきが病気によるものかそうでないかを正しく診断し、治療につなげていくことです。そのためには日中の強い眠気や起床時の頭痛などの自覚症状があった場合、できるだけ早く医療機関を受診して診察、検査を受ける必要があります。

いびきをかいていても無呼吸の頻度がごくわずかであれば、すぐに治療が必要になるわけではありません。睡眠時無呼吸症候群は肥満などが原因となっているケースが多いため、生活習慣の改善によって肥満が改善すれば、眠りの悩みも解消されることがあります。

●一人暮らしの人のチェックポイント

☑同じ部屋で寝た人にいびきを指摘されたことがある
☑睡眠アプリの録音を聞いたら、夜間に何度も激しいいびきをかいていた
☑起床時に頭痛がすることがある
☑しっかり寝たはずなのに疲れが取れていないと感じることがある
☑日中、しばしば強い眠気に襲われる ☑日中、仕事や運転などの大事な場面で居眠りをしてしまったことがある

このような症状がある場合には、医療機関を受診して診察、検査を受けることが大切です。

こんなときは専門医を受診しましょう

睡眠に関連する悩みや症状は、毎日のことでもあり、生活の質(QOL)に大きく影響します。なかには寝具が問題となって睡眠の質が低下していることもありますし、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因のこともあります。睡眠時無呼吸症候群の場合は睡眠外来のほか、近隣の耳鼻咽喉科や呼吸器内科を受診します。より詳しい検査や専門医の受診が必要な場合には、受診した医療機関から紹介してもらうと安心です。

寝つくまでに時間がかかる、夜間に何度も目が覚めるといった悩みの場合は睡眠外来のほか、心療内科での治療が有効です。

・気になる眠りの症状をチェック

<参考資料>
・日本呼吸器学会:睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020
https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf