セルフチェック
気になる症状があればセルフチェックをしてみましょう。
夜、眠りにつこうと寝床に入って目を閉じても鼻がつまってなかなか眠れないという経験がある人も多いでしょう。鼻がつまることによって鼻呼吸ができないことも睡眠の質の低下につながります。
鼻は空気の出入り口のひとつで、外鼻、鼻腔、副鼻腔からなっています。鼻腔の内側は粘膜で覆われていて粘膜上には、温度や空気の流れや圧などのセンサーがあり、呼吸の情報を脳に伝えます。その情報から、脳は呼吸と睡眠の調節をしています。また、鼻腔では乾燥した空気が直接、肺にはいらないよう、呼吸は加温加湿され肺の保護をする役割があります。
しかし、感染症やアレルギーなどによって鼻の粘膜に炎症が起きて腫れてしまうと鼻の通りが悪くなります。鼻がつまることで鼻呼吸がしにくくなり、口呼吸では乾燥した空気の呼吸となり、さらに呼吸や睡眠の調節がうまくいかなくなるのです。
●就寝前の飲酒で鼻づまりが悪化?
鼻の粘膜には多くの血管が通っており、血管が拡張することで粘膜の腫れが強くなります。アルコールには血管を広げる作用があるため、鼻づまりで寝つきが悪いからと寝る前に飲酒をするのは逆効果といえます。また、過量の飲酒自体が睡眠の質の低下を招く要因となることから、寝る前の飲酒は控えましょう。
鼻づまりの症状を引き起こす病気には、風邪症候群、アレルギー性鼻炎、急性・慢性副鼻腔炎などの炎症性疾患と鼻中隔弯曲症などの解剖学的疾患があげられます。
風邪症候群は、ウイルスや細菌に感染することによって気道に炎症が起こり、咳やのどの痛み、鼻炎などの症状が出るものです。また、アレルギー性鼻炎はアレルゲンとなる物質によって鼻炎症状が起こる病気で、ダニやホコリなどが原因の場合は1年を通して鼻炎症状がみられる通年性のアレルギー性鼻炎、スギやヒノキなどの花粉が原因で、飛散時期にのみ症状が起こる季節性のアレルギー性鼻炎(花粉症)にわけられます。
急性・慢性副鼻腔炎は、こうしたウイルスや細菌、アレルギーなどによる炎症(鼻炎)が鼻の粘膜だけでなく副鼻腔にまで及ぶことで発症します。鼻の粘膜の炎症が強くなり、鼻腔と副鼻腔鼻の間にある小さな通り道(自然口)がふさがってしまうと、副鼻腔から鼻水などの不要なものを排出できなくなってしまいます。それによって鼻水や膿がたまり、副鼻腔にも炎症が起こるのです。副鼻腔炎は、発症から4週間以内のものを急性副鼻腔炎、症状が3か月以上に及ぶものを慢性副鼻腔炎といいます。
我々の鼻腔の状態は、昼間よりも夜間に粘膜の腫れ(腫脹)がすすみ、さらに体位や時間経過による変動があります。鼻中隔弯曲症は左右の鼻腔の衝立である鼻中隔の偏位により、左右の鼻腔が非対称となり、より睡眠中の鼻呼吸が妨げられることが多くなります
鼻づまりがあることで睡眠中に口呼吸になり、いびきが出やすくなります。いびきが症状として出る病気に睡眠時無呼吸症候群(SAS)がありますが、鼻づまりによる口呼吸が原因でいびきが出ているだけであれば睡眠時無呼吸症候群と診断されるわけではなく、鼻炎が直接、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因となるわけでもありません。
しかし、鼻づまりがあることで睡眠の質は低下します。季節性の花粉症など、一時的なものであっても鼻がつまることで寝つきが悪くなったり、夜間に目が覚めてしまったりすることは、睡眠による心身の休息と回復を妨げることになります。また、鼻閉により口呼吸へ移行すると、下顎は開口により後方に移動し、舌が落ち込み気道を狭めてしまうことが多く、無呼吸はさらに重症化します。
この場合、鼻づまりの原因となる病気の治療を受けることが重要です。治療によって鼻づまりの原因が解消すれば睡眠の質も向上します。かかりつけ医や耳鼻咽喉科などを受診し、鼻づまりの原因となっている病気を治療しましょう。
<参考資料>
・日本呼吸器学会:市民のみなさまへ 呼吸器Q&A
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq
・日本呼吸器学会:市民のみなさまへ 呼吸器の病気
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会:鼻の症状
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=16
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会:鼻科・嗅覚・アレルギー
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=9
・日本病巣疾患研究会:口呼吸について
https://jfir.jp/mouth-breathing/