セルフチェック
気になる症状があればセルフチェックをしてみましょう。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中のいびきと無呼吸(呼吸が止まる)を繰り返す病気です。睡眠中に緩んだ舌がのどに落ち込んで気道を塞ぎ、呼吸が止まることにより目が覚め易くなり、深い睡眠も少なくなります。十分な時間寝たつもりでも、深い睡眠がとれていないため、昼間に眠たくなり、居眠り運転事故や労働災害を起こしやすくなり ます。いびき、無呼吸の指摘、昼間の眠気以外にも、何回もトイレに行く、朝の口の渇き、頭痛などの症状で気づかれることもあります。高血圧、心筋梗塞、脳卒中、心不全などの病気の合併も起こりやすく、重症者では生命にも影響がでてきます。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、まず外来で鼻口の空気の流れや血液中の酸素濃度を測定する簡易検査を行います。簡易検査や睡眠ポリグラフ(呼吸による気流や 血液中の酸素濃度測定に加え、睡眠の質などが評価できる精密検査)で、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の診断となった場合、CPAP(Continuous Positive AirwayPressure:持続式陽圧呼吸 シーパップ)療法という治療が第一選択とされ多くの方が使用しています。
CPAP療法は、寝るときに鼻マスクをつけ、塞がった気道に空気を送りこむことにより気道の塞がりを防ぐ治療法(図1参照)で、深い睡眠が得られることにより昼間の眠気、夜間頻尿、頭痛など無呼吸の症状が改善します。高血圧、心筋梗塞、脳卒中、心不全などの病気の予防につながる効果も報告されています。重症の睡眠時無呼吸症候群では居眠り運転事故を起こしやすいものの、CPAP使用にて正常者と同じ程度まで居眠り運転を減らせることも報告されています。CPAPに内蔵されているカードを患者さんが定期的に病院に持参することにより、どれだけ使用できているか、圧、マスクが合っているかなどをチェックできるので、これらのデータを利用してより良く使用できるように工夫することも可能です。データを基にCPAPの圧や空気の送り方を変えたり、マスクの調整や交換、CPAPを使用できない原因となる鼻づまり、口を開けるなどへの対処を行ったりします。
CPAP療法ではマスクをつけたその日から、いびき、無呼吸が減少し、自覚症状が改善することも多いのですが、睡眠時無呼吸症候群を根治させる治療法ではないので、使用をやめてしまえば元の状態に戻ってしまいます。眼の悪い人が眼鏡を使うように、CPAP療法に慣れていただき毎日使い続ける必要があります。できるだけ毎日、長い時間、CPAPを使用した方が眠気や血圧の改善・心臓や血管の病気の予防につながることが報告されていて、患者さんと病院側が協力して、CPAPをより良く使用できるような努力が必要になります。